複数店舗の預金執行につき預金債権額による特定を認めた決定(東京高裁H23・10・26)
預金債権を差し押さえるためには、同じ銀行でありながら、支店毎に手続きをとるべきだというのが旧来の考え方でした。しかしながら、この考え方ですと、銀行が名寄せ可能なシステムを有していること、そもそも銀行は各支店ではなく当該銀行自体がひとつの権利主体であること、民事訴訟で権利が確定しながら現実の回収が困難となり、ひるがっては民事訴訟という法制度自体の信頼性・有用性が揺らぎつつあること等々の問題があり、近時、強制執行の場面で、こうした問題をのりこえる決定例が多数出されるようになっています。本件は、全店一括順位付け方式による特定を否定した最高裁H23・9・20(判時2129号41頁)の後の判断でもあり、重要な意義を有すると思われます(判時2130号4頁)。
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