【民事・手続】簡易裁判所における訴訟で、証人尋問が記録化(証拠化)されないこと等の問題点に関する判例(東京高裁H24・7・25 特別上告審)
簡易裁判所では、事件処理の簡略化・迅速性等の観点から、証人尋問が実施されても、事実上録音されるものの、記録化(証拠化)されない取り扱いとされることがあります(民事訴訟法規則170条1項)。
その結果、当事者のいずれかが判決に不服で、控訴となった場合に、控訴審(地方裁判所)で、簡裁段階の証人尋問(結果)の取り扱いが問題となります。
結論としては、
・ 簡裁段階での証人尋問は何ら訴訟上の証拠・記録にはなっていない
・ それゆえ、簡易裁判所は、証人尋問調書・結果を判決の基礎にはできない
・ 控訴審裁判所(地方裁判所)も、訴訟上の正式記録ではなく事実上録音されたに過ぎない証 人尋問についての録音テープを聞いてはならない
等となります。
実務では当事者のいずれかは録音反訳書面を証拠として提出することも多いですが、証人尋問を実施しておきながら、果たしてそうした負担を当事者におわせていいのか、上記結論の妥当性など検討されるべき課題も多いように感じます。
ご紹介の判例(判例時報2165号84頁)は控訴審(地方裁判所)が上記結論・法令に違反した誤りを指摘するもので、いわゆる簡裁事件につき、実務上は留意が必要かと思われ、ご参考までにアップしました。
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