弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・建築】耐震偽装マンションにつき、建築確認を行った市に対する損害賠償請求を認めた裁判例(静岡地裁H24・12・7)
  • 【裁判・建築】耐震偽装マンションにつき、建築確認を行った市に対する損害賠償請求を認めた裁判例(静岡地裁H24・12・7)

    本件は耐震偽装マンションに関する事案で、構造計算業務に関与したものらへの責任も認められています(金9億5600万円ほど)。論点は多岐にわたりますが、建築確認を行った静岡市の責任が認められている点に大きな特色があります(金6億7000万円ほど)。

    建築主事・静岡市の義務違反認定の基礎は次のような点にあるようです。

    すなわち、本件は、建築主事が、構造計算書の2次設計結論部分が抜けていることに気づき、これの追完を指示したところ、後日申請者が最終ページのみを持参したが、建築主事は、その際に、「連続性について単に利用者番号、ソフトのバージョン番号、頁数を確認したのみで、九六頁、九七頁に記載されていた本件建物の各階におけるX方向の壁せん断力の数値と追完された最終頁(九八頁)に記載されている同数値が一致していることを確認しなかったものである。」とされています。その他、建築基準法の趣旨、本件建築主事の能力等もあわせて、義務違反が認定されました。

    具体的な義務違反認定の際の視点として参考になると思われます。なお、本件は分譲会社が購入者(消費者)からの買い戻しに応じたうえ、分譲会社が原告となって提起した訴訟のようであり、耐震偽装発覚後の分譲会社のあるべき姿(とるべき対応)としても参考になると思われます。

    判決文は、判例時報2173号62頁(上記部分は105頁以下)に掲載されています。