【裁判・労働】じん肺被害において、労働者が低額補償とともにその他の請求をしない旨の念書を提出していたケースにつき、そのような念書は死亡慰謝料まで放棄したとは解されず、
本件はじん肺被害につき企業の責任を認める判決ですが、そのなかにおいて、労働者が低額補償とともにその他の請求をしない旨の念書を提出していた点について、
低額な補償金額は死亡までも含んだものではないこと、使用者側の安全配慮義務違反、被害と補償の不均衡、作成経緯等から、
そのような念書は死亡慰謝料まで放棄したとは解されず、或いは公序良俗で無効としたものです(横浜地裁横須賀支部平成25年2月18日・判例時報2192号73頁)。
労働被害に限らず社会的に弱い立場にある当事者につき、形式的には請求権放棄の念書・合意書が存する事案も少なくありませんが、こうした場合であっても、
実体面からの被害救済の途を確保するもので、実務上も大いに参考なると思われます。
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