弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・労働】精神疾患をかかえる市立中学の女性教員に対する、校長・教頭・教育委員会・教員センター対応・言動等がパワハラであり、精神疾患を憎悪させ自殺選択に至らせたとして国家賠償を認めた裁判例(鹿児島地裁H26・3・12)
  • 【裁判・労働】精神疾患をかかえる市立中学の女性教員に対する、校長・教頭・教育委員会・教員センター対応・言動等がパワハラであり、精神疾患を憎悪させ自殺選択に至らせたとして国家賠償を認めた裁判例(鹿児島地裁H26・3・12)

    鹿児島地裁平成26年3月12日判決(判例時報2227号77頁)は、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきものである(最高裁平成10年(オ)第217号、第218号同12年3月24日第二小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照)。この理は、地方公共団体とその設置する中学校に勤務する地方公務員との間においても同様に当てはまるものであって、地方公共団体が設置する中学校の校長は、自己が指揮監督する教員が、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当である。」と述べた上、「前記第3・3において判示したとおり、平成17年以降の校長、教頭、県教育委員会、指導官及び本件担当指導官らの上記一連の各行為が亡Aに対して心理的な負荷の大きい影響を与えており、これが、亡Aの精神疾患を増悪させる危険性の高い行為であったと認めることができるから、亡Aはかかる行為の影響により、正常な判断ができない状態で自殺したものとみるのが相当であり、そうであるとすると、校長、被告県教育委員会、指導官及び本件担当指導官らの上記一連の各行為と亡Aの精神疾患の増悪及び自殺との間に相当因果関係があるとみるのが相当である。」とし、素因減額3割、過失相殺2割のうえ、加害者側に賠償を命じました。

     記判断、その基礎となる事実認定とともに同種被害の救済に参考となるものと思われます。(確定しています。)