【裁判・民事】不動産の信託受託者として当該不動産の転貸及び保守管理をしていた者が、当該不動産の屋上漏水事故について、民法717条1項の占有者に該当するとして損害賠償が命じられた事案(東京地裁H24・2・7)
民法717条1項はいわゆる土地の工作物責任として不動産の占有者に対する責任を定めています。東京地裁平成24年2月7日判決(判例タイムズ1404号200頁)は、保守管理者側から「転貸を目的としており、経済的利益及び損失の一切は所有者たるAに帰属することとされ、・・・(保守管理者側の)権限は厳しく制限され、本件建物の現実の支配管理を行う実質的な権限を有していなかった」との反論につき、転貸目的が立証されていないと述べるとともに「民法717条1項の土地の工作物の占有者は事実上工作物を支配していれば足り、経済的利益や損失の帰属がないからといって占有者ではないということはできない。」と判示し、損害賠償を命じました(控訴後和解と報告されています)。
法717条は、実務上も重要な規定であり、その具体的適用例として参考となるものと思われます。
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