弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・労働】会社分割により従前の労働条件が維持されなかった事案につき、労働契約承継の各規定に鑑み、労働条件の維持を認め、会社側の対応の違法性を認めた裁判例(神戸地裁H26・4・22)
  • 【裁判・労働】会社分割により従前の労働条件が維持されなかった事案につき、労働契約承継の各規定に鑑み、労働条件の維持を認め、会社側の対応の違法性を認めた裁判例(神戸地裁H26・4・22)

    阪神電気鉄道の従業員であって、排便・排尿が困難となる身体状況を有する労働者につき、従前、勤務システム上の配慮受けていたものの、会社分割後の阪神バスでの勤務では、係る配慮が得られなくなった事案につき、神戸地裁尼崎支部平成26年4月22日判決(労働判例1096号44頁)は、「阪神電鉄は、労働承継法の規定により、原告が希望しさえすれば、本件勤務配慮に係る合意を含む本件労働契約1がそのまま被告に承継され得るにもかかわらず、そのことを原告に認識させないまま、被告における就労を希望する原告に本件同意書を提出させて、勤務配慮に係る労働条件の不利益変更を伴う転籍に応じさせたことになる。」とし、「かかる同意は、労働契約承継法いよって保障された、本件労働契約1が被告にそのまま承継されるという原告の利益を一方的に奪う手続に基づいてされたものであり、かかる手続はまさに労働契約承継法の趣旨を潜脱するものというべきものであるから、上記同意による勤務配慮に係る労働条件の不利益変更は、公序良俗に反して無効と解するのが相当である。」と判示し、会社側の対応を違法とし、従前の労働条件の維持、損害賠償責任を認めました。

     

    控訴されていますが、会社分割における労働条件のあり方について、労働者保護の観点から参考となると思われます。