弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・行政】生活保護受給者が引っ越しに伴い戸建住宅を売却し、引越しのうえマンションを購入したところ、引越先でマンション売却を指示され、これに従わず生活保護停止処分とされた事案につき、当該停止処分を違法と判断した裁判例(さいたま地裁H27・10・28)
  • 【裁判・行政】生活保護受給者が引っ越しに伴い戸建住宅を売却し、引越しのうえマンションを購入したところ、引越先でマンション売却を指示され、これに従わず生活保護停止処分とされた事案につき、当該停止処分を違法と判断した裁判例(さいたま地裁H27・10・28)

    受給者は就労できない状態であり、もともと戸建住宅の保有は認められていたそうですが、交通事故に遭ったことなどもあり、約30年以上も通っている病院への通院も困難な状況になり、医師の意見もあり、病院近くに引越すために戸建を売却した事案です。戸建売却後、その代金を原資に、病院近くのマンションを購入したところ(担当の福祉事務所も変更)、福祉事務所からマンション売却を指示されてしまったものの、戸建売却の経緯からすれば、当該指示に問題があるとして売却に応じなかったところ、生活保護停止とされてしまったもので、当該停止処分の違法性を争ったものです。さいたま地裁平成27年10月28日(消費者法ニュース106号258頁)は、戸建住宅保有が認められていたこと、引越し理由の合理性、売却代金と購入代金とがほぼ一致していること等も踏まえ、福祉事務所のマンション売却指導が違法であり、よって保護停止処分も違法であるとして、停止処分を取り消しました。

    さいたま地裁の判断は、当然ともいえるものですが、現実には生活保護・福祉事務所の形式的判断で実務が運用されるなか、生活保護制度の趣旨に立ち返った裁判例として実務上も参考になると思われます。