弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・行政】農地法5条1項の許可を受けた者の造成工事により、隣接農地の排水障害が生じた事案につき、同許可処分が違法として国家賠償請求を認めた裁判例(広島高裁岡山支部H28・6・30)
  • 【裁判・行政】農地法5条1項の許可を受けた者の造成工事により、隣接農地の排水障害が生じた事案につき、同許可処分が違法として国家賠償請求を認めた裁判例(広島高裁岡山支部H28・6・30)

    行政法規の基づく権限行使によって損害を受けた者が国家賠償請求可能かとの論点があり、判例上、公務員が個別の国民に対して負担する義務に違反した場合には国賠法1条1項の「違法」を構成すると理解されているところ(最高裁昭和60年11月21日・民集39巻7号1512頁)、本件では、農地法5条2項4号の趣旨・理解が問題となったものです。原審は「違法」を構成しないとしましたが、広島高裁岡山支部平成28年6月30日判決(判例時報2319号40頁)は、隣接地所有者の法的利益も保護するものであるとして、国家賠償を認めたものです。

     

    行政法規の解釈・適用の例として参考になると思われます。

     

    ※ 農地法5条2項4号

     申請に係る農地を農地以外のものにすること又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地又は採草放牧地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合