弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • カテゴリー: 建築
  • ご報告 日弁連シンポ「建築基準法を守れ!安全な住宅の回復のための補修方法を考える~」(H23・1・15)

    平成23年1月15日、約100名のご参加を得て、下記シンポジウムが開催されました。建築基準法令を無視するかのような個人的経験に基づく独自の見解を述べる調停委員、建築知識をもたないまま調停委員・鑑定人に判断を丸投げする裁判官など、裁判所における実態が報告され、その改善のための具体的方策が議論がされました。当日は新幹線トラブルがありましたが、参加された方々が、裁判における具体的活動方法を得られたようです。

                           記

    日弁連シンポジウム
    『建築基準法を守れ!~安全な住宅の回復のための補修方法を考える~」

     欠陥住宅裁判で、建築基準法令等を無視するかのような瑕疵補修案を前提とした判決や和解案が示されることがあります。 こうした考え方は、どこから生まれてくるのか。 元裁判官や学者、施工者らとともに建築基準法に適合する補修案を獲得するための工夫や方法を徹底議論するシンポジウムが開かれます。
     
     日時 2011年1月15日(土)13時30分~16時30分
     場所 主婦会館プラザエフ8階「スイセン」
        東京都千代田区六番町15番地JR四谷駅麹町前徒歩1分
     ※ 参加無料・予約不要

     ※ 詳しくは、日弁連の案内ページをご覧下さい。
       http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/110115.html

    欠陥住宅への居住利益等は存しないとする判例(最高裁H22・6・17)

    売買目的物である新築建物に重大な瑕疵があり立て替えざるを得ないような場合につき、業者側から「これまで居住してきた利益や、建て替えによって耐用年数が伸長する利益」は損害額から控除されるべきとの主張につき、最高裁は、「損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできないと解するのが相当である」と判示しました(判例時報2082号55頁)。

    欠陥住宅に住まわざるを得ず、また、建て替え等の負担を余儀なくされる被害者から見れば当然のことかも知れませんが、これまで業者側から度々主張されてきたものであり、誤った裁判例もあったことから、実務上も重要な意味を有する判例です。

     

    安全確認の取消しなくとも建築確認取消訴訟で安全確認の違法主張することを認める判決(最高裁H21・12・17)

    法(訴訟)技術的な論点ですが、いわゆる違法性の承継(2個の行政処分が時をおいて行われる場合に、後続処分の取消訴訟において、その違法事由として先行処分の違法性を主張すること・後続処分へ違法性が承継されること)の問題につき、建築確認取消訴訟において、最高裁は、「安全認定が行われた上での建築確認がされている場合、安全確認が取り消されていなくとも、建築確認の取消訴訟において、安全確認が違法であるために本件条例四条一項所定の接道義務違反があると主張することは許されると解するのが相当である。」との判断を示しました。建築取消訴訟における事例判断とはいわれますが、司法救済をもとめる途を拡げる意味はあり、実務上も重要なものです。

    判決文(最高裁HP)↓。

    http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=38272&hanreiKbn=01

    講演・日置雅晴氏『建築紛争の背景と今後の展望』(報告)

    平成22年4月24日、お知らせでご案内していた下記講演が開催されました。日置先生からは神楽坂でのご活動や世界の住環境、ご担当の鞆の浦訴訟等のお話をいただき、「100年住宅であっても、住環境が伴わなければ意味がなくなる」との視点が示されました。多数のご参加、ありがとうございました。

    日置先生も所属する「景観と住環境を考える全国ネットワーク」のページ↓。

    http://machi-kaeru.com/

                          記 (開催済み)
    日時 4月24日(土)14時~
    場所 弁護士会館4階大ホール(仙台市青葉区一番町2ー9-18)
    内容 『建築紛争の背景と今後の展望』
        -なぜ日本で建築紛争が絶えないのか-
    講師 日置 雅晴
        景観と住環境を考える全国ネットワーク代表
        弁護士・早稲田大学法科大学院教授

    マンション建築差し止め決定(神戸地裁尼崎支部H22・2・24)

    神戸地裁尼崎支部において、平成22年2月24日付けで、マンション建築差し止めの決定が出されていたとの報道がありました。

    http://news.goo.ne.jp/article/kobe/region/T20100324MS01664A.html

    行政上のルールを守ることが、近隣住民の権利(日照権・私法上の権利)の侵害までも許すものでないことを改めて確認する意義ある判断と思われます。