弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • カテゴリー: 製造物責任
  • 飼犬用のブレーキ付きひもにつき、製造物責任法上の欠陥を認めた裁判例(名古屋高裁H23・10・13)

    名古屋高裁平成23年10月13日判決(判時2138号57頁)は、飼犬がを制止されるためのブレーキひもにつき、「ブレーキボタンを押しても、ブレーキボタンと内部の先端とリール(回転盤)の歯とがかみあわず、カタカタという音がするだけで、ブレーキがかからなかったのであるから、ブレーキボタンがブレーキ装置として本来備えるべき機能を有せず、安全性に欠けるところがあったと言わざるを得ない。」として、銅製品の輸入業者に対し、損害賠償を命じました。

    製造物責任法に基づく消費者被害の救済判例はいくつかありますが、パナソニック携帯電話機低温やけど事件(仙台高裁平成22年4月22日・判時2086号42頁)が最高裁で業者の上告・受理申立てが排斥され、仙台高裁の規範・事実認定全てが是認され確定しています。

     

    パロマ製給湯器一酸化炭素中毒事故で元社長ら有罪判決(東京地裁H22・5・11)

    大きく報道されているとおり、パロマ製給湯器の一酸化炭素中毒死亡事故につき、元社長(代表者)に対し、小林被告に禁固1年6月、執行猶予3年(求刑禁固2年)、元品質管理部長に対し、禁固1年、執行猶予3年(求刑禁固1年6月)を言い渡しました。死亡等の被害を知りながら人命優先の措置を怠ったものであり、改めて原因究明・民事上の賠償に関する製造者としての責任ある対応がのぞまれます。

    民事関係の動向など↓。

    http://www.news-pj.net/npj/2008/paroma-20080118.html

    携帯電話機による低温熱傷被害、製造メーカーに賠償命令(仙台高裁H22・4・22判決)

    仙台高裁は、平成22年4月22日、携帯電話機をポケットに入れて使用していたところ低温熱傷の被害を被った事案につき、被害者が原因究明のために要した費用150万円、企業側の不誠実な対応等による精神的苦痛を被ったとして慰謝料50万円を含む合計221万2370円を、製造者パナソニックモバイルコミニュケーションズに命じる判決を言い渡しました。吉岡和弘弁護士、山田いずみ弁護士、柘植直也弁護士と弁護団で担当させていただいた事案で、製造物責任法による被害救済を図ったことはもとより、原因究明を怠り、消費者に泣き寝入りをせまるごとき企業の対応に警鐘をならす意味ある判決です。