【裁判・消費者】住宅兼店舗での家族経営の喫茶店を営む個人の電話機、ファクシミリリース契約について、クーリング・オフを認めた裁判例(東京地裁H27・10・27)
特定商取引法は原則クーリング・オフを認めながら、同法26条1項1号「営業のために若しくは営業のため」に該当する場合には例外的にクーリング・オフを認めないとしています。東京地裁平成27年10月27日判決(判例時報2300号67頁)は、後者への該当性を否定し、原則どおりクーリング・オフを認めたものです(控訴あり)。
東京地裁平成27年10月27日判決(判例時報2300号67頁)など同種判断も複数見られますが、消費者被害救済の参考となる判断事例です。
【裁判・消費者】詐欺的要素の強い社債販売会社と、その従業員との間の加給金支払合意について、公序良俗に違反し無効として、破産管財人の返還請求を認めた裁判例(名古屋地裁H28・1・21)
名古屋地裁平成28年1月21日判決(判例時報2308号119頁。確定)の判断です。破産管財人が返還を受けることによって被害者への配当(実質被害弁償)につながる判断で、消費者被害救済に参考となる事案です。
こうした事案については、無限連鎖講配当金の返還請求を認める最高裁平成26年10月28日判決(民集68巻8号1325頁)がリーディングケースといわれています。
【裁判・消費者】いわゆる美容外科(美容療法)における施術について、施術側の説明義務違反を認め施術相当額の損害賠償を命じた裁判例(大阪地裁H27・7・28)
施術側は医療センターを開設して、口腔内から採取した細胞を培養し、これを対象部位に注入し、しわ・たるみ等を除去するスーパーセーリングと称する美容療法を宣伝・実施していたもので、原告(患者側)は140万円を超える施術費用を要した事案です。
いわゆる美容外科(美容療法)における施術・医師側の説明義務内容の考え方・把握として参考になると思われます。
【裁判・消費者:不動産】いわゆる投資マンションの勧誘・販売について、媒介業者らへの損害賠償を認めた裁判例(東京地裁H27・3・18)
被害者(原告)は、時給1180円の派遣社員であり、不動産取引や投資経験はなかったなか、4580万円の借り入れをおこなわれたものであり、近時、社会問題点になっている投資マンション勧誘の被害救済の事案です(REIT102号110頁に概要掲載有。全文はウエストローに掲載されています)。
被害事案は多い一方、訴訟救済の困難性が指摘されていたなか、被害救済につながる参考になると思われます。
【参考・消費者】正田彬教授「消費者の権利 新版」岩波新書~消費者月間にあたって
5月は消費者月間といわれ、消費者庁・各消費生活センターでも種々の企画が行われています。
消費者庁HP http://www.caa.go.jp/region/education/2015gekkan/
近時ますます複雑化・高度化する社会ですが、消費者問題に取り組むにあたって常に心に響く大きな視点を有しておくこともとても大切と思います。
「事業者による事業活動は人間の権利の尊重を前提として成り立つものでなければならない。けっして、人間の権利と事業者の権利をどう調整するか、どう折り合いをつけるか、という発想であってはならない。」(序11頁)との視点に貫かれた正田先生(1929~2009)のご著書、是非、ご一読をおすすめします。
【参考・消費者】月刊国民生活12月号(国民生活センターHP)
【消費者・情報】越境被害(海外取引)に関する国民生活センターによる報告(国民生活センターHP)
【参考・消費者】インターネット宅配クリーニングサービスのトラブル(国民生活センターHP・厚生労働省通知もあり)
クリーニングトラブル(相談)自体も多いのですが、近時、店舗型・対面式でないインターネット等で申し込む宅配クリーニングのトラブルが増加しているようです。2014年7月には厚生労働省通知も出されています。
【消費者・情報】日弁連・消費者問題ニュース163号が発行されています(日弁連HPにあります)
【情報・消費者】各種相談の件数や傾向(国民生活センターHP)
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