弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • カテゴリー: 投資被害
  • 【民事・時効】消費者被害救済のための参考文献  松本克美教授「続・時効と正義ー消滅時効・除斥期間論の新たな展開」(日本評論社)

    投資被害、欠陥住宅被害など、消費者被害の場面では、『加害行為を基準とすると3年、20年』といった時効・除斥期間という、権利消滅期間が経過してしまっている事案も少なくありません。東日本大震災をきっかけに被害が発覚した事案も少なくありません。

    こうした事案について、被害者側が『時の経過』のみで救済されなくなってしまうことは正義に反することも多いと感じられるなか、ご紹介させていただいた書籍は、正義の実現・被害者救済にむけて、多くの判例を分析され、実務上も大きな力をいただける内容となっています。

    『時の経過』を乗り越え被害救済に取り組む方はもとより、法的正義の考え方に触れることができる文献として、紹介させていただくものです。

     

    【投資・詐欺商法】換金困難な外国通貨の取引被害(国民生活センターHPより・H24・9・21)

    国民生活センターHPに注意喚起がなされています。被害実態、加害の手口等の概要が分かります。国民生活センターはその立場上表現を慎重にしている面もあると思われますが、多くは詐欺事案ですから、相談を受けた弁護士・相談員等の的確な対応が必要となるでしょう。

     

    「次々出てくる換金困難な外国通貨の取引トラブル!ー新たにコンゴ、シリア、イエメン、ウズベキスタンの通貨が・・・ー」 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120921_1.html

    【参考・投資被害】「年々増加する投資信託のトラブルー元本割れなどのリスクを再確認し、トラブルの未然・拡大防止をー」(国民生活センターHPより)

    投資信託被害の報告です。銀行を信頼し元本保証と思い生活資金を預けたケースも多く、深刻な被害となっています。銀行等に対する規制を強化すべき問題ではありますが、まずは社会において被害実態を共有化することも大切です。

    国民生活センター 該当ページ↓。

    http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120726_1.html

    全国銀行協会の紛争解決等業務の実施状況について↓。

    http://www.zenginkyo.or.jp/adr/conditions/

    日本証券業協会の苦情相談処理状況について↓。

    http://www.jsda.or.jp/sonaeru/kujyou/kujyou.html

    投資被害関係・営業員ハンドブック(日本証券業協会HP・H24・5・30)

    日本証券業協会HPに「営業員ハンドブック」が掲載されています。企業関係のトラブルに関し、従業員個人が責任を負うのか、争点となることもありますが、投資被害関係については、「営業員ハンドブック」に「金融商品取引業者等の事業活動を実際に行う者は、主として投資者に直接接する営業員ですから、営業員の責任は極めて大きく、特にその営業活動の中心となる投資勧誘については、これを適正に行うことが強く要請されるわけです。」(2頁)とあるように、原則として担当者個人も責任を負うものと考えられ、これの参考になる資料と思われます↓(こちらから入手できます)。

    http://www.jsda.or.jp/shiryo/guidebook/index.html

    無料110番のご報告(仙台地区3月8、9日実施のもの)

    下記日程で開催した無料110番、7件の相談がありました。

    90歳を超える方への詐欺的被害、銀行・証券会社からの勧誘等の相談など、投資被害が平穏な日常生活に広く被害を出していることを、改めて痛感させられる内容でした。被害救済に取り組むメンバーと、引き続き、被害の予防と救済に取り組んでいきます。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    全国一斉投資被害110番(相談無料)を実施します

      宮城・仙台は次の日時・番号です。
      仙台弁護士会所属の投資被害救済に取り組む弁護士がご相談にあたります。
      宮城県在住の方に限りませんので、遠慮なくお電話下さい。

      3月8日(木)午前10時~午後4時
        9日(金)午前10時~午後4時

      電話 022-223-6270(代表)

      ※ 昨年の全国の状況は、先物取引被害全国研究会のHPに掲載されています。
        http://www.futures-zenkoku.com/110ban/

    モンゴル投資詐欺容疑で逮捕・グローバルアイズ元社長ら(ニュース)

    既にグローバルアイズ社は破産していますが、関与者が逮捕されました。刑事責任の解明はこれからでしょうが、きちんとした資金の流れ・実態解明が図られることをのぞみます。

     

    毎日新聞ニュース↓
    http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120111k0000e040170000c.html

    ※ 上記ニュースから~被害者と弁護士の声

    ・ 被害者の声~ 孫の学費が…被害者落胆
     グローバルアイズの主な営業拠点は札幌市にあった。被害対策弁護団によると、被害者の手元に戻った現金は出資額のわずか1.1%。同市内の70代女性は「孫の学費のために貯金していたお金だったのに……」と自責の念が消えない。
     この女性が自宅を訪れたグローバルアイズの男性社員から「モンゴルファンド」の投資を勧誘されたのは09年4月ごろ。「口下手で一生懸命なので可哀そうになってしまった」。同情のつもりで数十万円の投資を決めた。社員はその後何度も訪れ投資を勧誘。出資額は9月までに約400万円まで膨らんだ。
     破綻を知ったのは10年3月。社員が真っ青な顔つきで訪ねてきて「倒産したみたい」と告げた。当初は「社員はどうなるのだろう」と心配したが、預けた資金が戻らないと知り悔しさが募った。「最初はきちんと配当も出ていたので信用してしまった。本当に情けない」とため息をつく。

    ・ 弁護士のコメント

     弁護団によると、同社が集めた資金は一部を除き、ほとんど運用された形跡がなかったという。荻野一郎弁護士(札幌弁護士会)は「勧誘して金融商品を売り続けないと配当できない仕組みだった」と指摘する。

     

    商品先物取引の損害賠償金としての和解金を非課税所得と認めた裁判例(名古屋地裁H21・9・30)

    本件は、商品先物取引被害を受けた者が業者から損害賠償として和解金を受けたところ、係る和解金が課税対象とされたことから、本件和解金(損害賠償金)は、非課税所得たる「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」(所得税法施行令30条2号)の該当性が争われた事案で、非課税所得と認めたものです(判時2100号28頁)。

    いわゆる税務訴訟は困難・負担が大きいものですが、本件のような損害賠償金に対し課税することは、被害実態・その救済からも不合理なものであり、原告・代理人が泣き寝入りせずに訴訟を行われた成果であり、今後の被害救済にも大きな力となる裁判例と思われます。

     

    2010年の消費者問題・投資被害がトップ項目(国民生活センター発表)

    国民生活センターの「消費者問題に関する2010年の10大項目」のトップ項目は「投資に関するトラブル急増、未公開株・社債さらに外国通貨取引も」です↓。

    http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101209_2.pdf

    投資被害は一見すると一部の人の特殊的な被害とも見られがちですが、その実態は、普通の生活をおくる市民に対する詐欺的被害が多く、上記国民生活センターの報告は、国・政府の取り組みとして、「被害者注意せよ」のスタンスではなく、「加害者中止せよ」のスタンスでの取り締まり・法規制がなければ根本的な被害防止・救済が困難な状況に至っていることを示すものとも思われます。

     

    グローバルアイズ等 被害者説明会の報告(H22・12・25)

    モンゴルへの投資等うたい全国的多数の被害を生じさせてきたグローバルアイズが破産しました(平成22年12月16日)。全国で約900名・64億円、仙台だけでも約140名・8億円の被害を生じさせていたと報道されています。関連会社としては、アイベスト、リアルアセットマネジメント等があります。

    上記破産を受け、仙台の弁護士有志では、平成22年12月25日、現在の状況や破産手続等のついて、説明会を開催致しました。20名を超える方が参加され、改めて深刻な被害実態を痛感しました。

    東京では被害対策弁護団も結成されています↓。トップぺージ下に札幌の問い合わせ先も掲載されています。

    http://www.globaleyes-higaibengodan.com/

    宮城・仙台でも有志弁護士で今後の方針を検討しているところです。

     

    投資被害の最高裁判例(3つ。H7・7・4、H17・7・14、H4・2・28)

    投資被害の判例としては、以下の2つが大きなリーディングケースといわれています。いずれも「形式的」には契約書等が揃っていても、「実質的」側面から不法行為の成立を検討・認めるものです。  

    ・ 商品先物取引において業者側の行為を一連の不法行為とする最高裁判例(最高裁平成7年7月4日判決・先物取引裁判例集18・110頁)

    ・ 証券取引において適合性原則違反が不法行為上も違法とする最高裁判例(最判平成17年7月14日・民集59巻6号1323頁)

    また、被害救済の際の法律構成として、少し注意を要する判例として、以下があります。

    ・ 無断売買等のケースで、顧客に効果は帰属せず、顧客はその取引がないものとして計算した額の預託金等の返還を求めることができるとする最高裁判例(最判平成4年2月28日・判タ783号78頁)