弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【民事・情報】タレント・モデル契約のトラブルに注意(国民生活センターHP)

    国民生活センターHPで注意喚起がなされています。近時、裁判例も複数出されており、また、アダルトビデオ出演強要問題にもつながる問題です。国民生活センターHPに公表資料や内閣府の注意喚起情報へもアクセスできます。

     

    国民生活センターの該当ページ

    http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/tm_keiyaku.html

    【裁判・民事】芸能プロダクションと女性アイドルとの契約が雇用契約類似の契約とされ、アイドルからの契約解除が認められ、芸能プロダクションからの損害賠償請求が否定された事案(東京地裁H28・1・18)

    女性アイドルが男性ファンと交際したとする事案です。東京地裁平成28年1月18日判決(判例時報2316号63頁)は、女性アイドルの年齢等も考慮し契約からの解放を認めたうえ、男性ファンとの性的交際が形式上は契約に違反するとしつつ、幸福追求権等の観点から損害賠償義務を負うのは害意等が認められる場合に限定したものです(控訴あり)。

     

    近時、具体的に問題となることが多い事案であり参考になると思われます。

    【裁判・民事】弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する照会先に報告義務あることを確認した最高裁判例(H28・10・18)

    最高裁平成28年10月18日第三小法廷判決(判例タイムズ1431号92頁)は、弁護士法23条の2第2項に基づくいわゆる弁護士法23条照会について、「23条照会の制度は、弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたものである。そして、23条照会を受けた公務所又は公私の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解されるのであり、23条照会をすることが上記の公務所又は公私の団体の利害に重大な影響を及ぼし得ることなどに鑑み、弁護士法23条の2は、上記制度の適正な運用を図るために、照会権限を弁護士会に付与し、個々の弁護士の申出が上記制度の趣旨に照らして適切であるか否かの判断を当該弁護士会に委ねているものである。そうすると、弁護士会が23条照会の権限を付与されているのは飽くまで制度の適正な運用を図るためにすぎないのであって、23条照会に対する報告を受けることについて弁護士会が法律上保護される利益を有するものとは解されない。」と判示しました。

     

    この点、本判決は、原審が照会先の報告・回答拒否が不法行為を成立するとした点が争われていたこともあって、「当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないというべきである。」との点が強調されることもありますが(最高裁判例も当該部分に下線部)、実務的には、上記報告義務を認めた点も重要な意義を有するものものです。

     

    裁判所HP・判決全文

    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/198/086198_hanrei.pdf

    【裁判・民事】札幌ドームでプロ野球観戦中に観客にファールボールが当たり眼を負傷した被害について、主催球団に安全配慮義務違反が存するとして損害賠償を命じた裁判例(札幌高裁H28・5・20)

    社会的にも報道されていた事案です。札幌高裁平成28年5月20日(判例時報2314号41頁)は、臨場感を高めるためにフェンスを低くしたことについて「瑕疵」は無いとする一方、具体的注意喚起面などの不足から賠償を命じる構成となっています(確定してます)。

     

    同種の事案は複数存し、スポーツ観戦における被害事案における判断例として参考になると思われます。

    【裁判・民事】匿名契約組合の営業者の利益相反的行為について、営業者の匿名組合員に対する善管注意義務違反がないとした原審判断を誤りとする最高裁判決(H28・9・6)

    営業者が新会社設立出資・株式取得などを行った事案について、利益相反的行為の問題などを審理させるために原審に差し戻したものです(金融・商事判例1508号48頁)。

    匿名組合契約は、種々問題が存するところであり、最高裁の考え方がうかがえる事例と思われます。

    【裁判・民事】仲裁手続きにおいて、大規模事務所に所属するA弁護士が仲裁人が選任される一方、B弁護士が当事者の別件訴訟の代理人であった事案について、利益相反事由の不開示から、仲裁判断が取り消された裁判例(大阪高裁H28・6・28)

    大阪高裁平成28年6月28日決定(判例タイムズ1431号108頁)は、「それ自体が、たとえ、本件仲裁判断の結論に直接影響を及ぼすことがないとしても、仲裁法44条1項6号の取消事由に該当するというべきである。」として仲裁判断を取り消しました。

     

    紛争事案における手続ルールの理解として参考になる思われ、また、大規模事務所の弁護士間のあり方としても興味深い事案です。

     

    (忌避の原因等)

    第十八条
     当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。

     当事者の合意により定められた仲裁人の要件を具備しないとき。

     仲裁人の公正性又は独立性を疑うに足りる相当な理由があるとき。

     仲裁人を選任し、又は当該仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与をした当事者は、当該選任後に知った事由を忌避の原因とする場合に限り、当該仲裁人を忌避することができる。

     仲裁人への就任の依頼を受けてその交渉に応じようとする者は、当該依頼をした者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部を開示しなければならない。

     仲裁人は、仲裁手続の進行中、当事者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実(既に開示したものを除く。)の全部を遅滞なく開示しなければならない。

     

    第四十四条  当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁判断の取消しの申立てをすることができる。

     仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。

     仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、日本の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。

     申立人が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続において、日本の法令(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。

     申立人が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。

     仲裁判断が、仲裁合意又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。

     仲裁廷の構成又は仲裁手続が、日本の法令(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。

     仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。

     仲裁判断の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。

     前項の申立ては、仲裁判断書(第四十一条から前条までの規定による仲裁廷の決定の決定書を含む。)の写しの送付による通知がされた日から三箇月を経過したとき、又は第四十六条の規定による執行決定が確定したときは、することができない。

     裁判所は、第一項の申立てに係る事件がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

     第一項の申立てに係る事件についての第五条第三項又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

     裁判所は、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、第一項の申立てについての決定をすることができない。

     裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、同項各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(同項第一号から第六号までに掲げる事由にあっては、申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る。)は、仲裁判断を取り消すことができる。

     第一項第五号に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、裁判所は、仲裁判断のうち当該部分のみを取り消すことができる。

     第一項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

    【裁判・芸能】芸能プロダクション所属の女性アイドルが男性ファンと交際したこと等に基づくプロダクション側から、アイドルとその父親に対する損害賠償請求について、アイドル本人に対する請求の一部を認めた裁判例(東京地裁H27・9・18)

    プロダクション側からの総額500万円を超える請求のうち、65万円程度の賠償を認めたものです(判例時報2310号126頁。確定)。過失相殺4割としています。

     

    本裁判の規範性は不分明ですが、芸能プロダクションをめぐる相談・事案も少なくないなか、今後の検討材料の意味としても、実務上、参考になるかと思われます。

    【裁判・労働】業務途中の歓送迎会参加後に会社へ戻る途中の交通事故につき、一・二審は業務起因性を否定する一方、最高裁が業務起因性を認めた事案(最高裁H28・7・8)

    最高裁平成28年7月8日第二小法廷判決(労働判例1145号6頁。国・行橋労基署長(テイクロ九州)事件)は、「原審は、上記事実関係等の下において、本件歓送迎会は、中国人研修生との親睦を深めることを目的として、本件会社の従業員有志によって開催された私的な会合であり、Bがこれに中途から参加したことや本件歓送迎会に付随する送迎のためにBが任意に行った運転行為が事業主である本件会社の支配下にある状態でされたものとは認められないとして、本件事故によるBの死亡は、業務上の事由によるものとはいえないと判断した。」ことについて、「労働者の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「災害」という。)が労働者災害補償保険法に基づく業務災害に関する保険給付の対象となるには、それが業務上の事由によるものであることを要するところ、そのための要件の一つとして、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態において当該災害が発生したことが必要であると解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第182号同59年5月29日第三小法廷判決・裁判集民事142号183頁参照)。」としたうえ、本件懇親会等について、「上記アの経過でBが途中参加した本件歓送迎会は、従業員7名の本件会社において、本件親会社の中国における子会社から本件会社の事業との関連で中国人研修生を定期的に受け入れるに当たり、本件会社の社長業務を代行していたE部長の発案により、中国人研修生と従業員との親睦を図る目的で開催されてきたものであり、E部長の意向により当時の従業員7名及び本件研修生らの全員が参加し、その費用が本件会社の経費から支払われ、特に本件研修生らについては、本件アパート及び本件飲食店間の送迎が本件会社の所有に係る自動車によって行われていたというのである。そうすると、本件歓送迎会は、研修の目的を達成するために本件会社において企画された行事の一環であると評価することができ、中国人研修生と従業員との親睦を図ることにより、本件会社及び本件親会社と上記子会社との関係の強化等に寄与するものであり、本件会社の事業活動に密接に関連して行われたものというべきである。」「また、Bは、本件資料の作成業務を再開するため本件車両を運転して本件工場に戻る際、併せて本件研修生らを本件アパートまで送っていたところ、もともと本件研修生らを本件アパートまで送ることは、本件歓送迎会の開催に当たり、E部長により行われることが予定されていたものであり、本件工場と本件アパートの位置関係に照らし、本件飲食店から本件工場へ戻る経路から大きく逸脱するものではないことにも鑑みれば、BがE部長に代わってこれを行ったことは、本件会社から要請されていた一連の行動の範囲内のものであったということができる。」として原判決(1審含む)の判断を誤りとして、業務起因性を認めたものです。

     

    労働の現場を踏まえた労働者保護につながる判断と思われ、実務上も重要な判断です。

    【裁判・近隣関係】飼犬の鳴き声について、飼い主に対し、近隣住民の精神的・財産的損害の賠償を命じた裁判例(大阪地裁H27・12・11)

    大阪地裁平成27年12月12日11日判決(判例時報2301号103頁)は、飼い主は「調教するなどの飼育上の注意義務を負う」として、飼い主が民事調停申立てを受けた後も、真摯な対応等を行わなかったこと等も踏まえ、「本件犬の鳴き声は、一般社会生活上受忍すべき限度を超えたもの」として、不法行為に基づき、飼い主に対し、金37万円超えの賠償を命じました(確定)。

     

    日常生活でみられるトラブル事案であり、民法718条という動物占有者等の責任に基づく判断でもあり、実務上も参考になると思われます。

     

    (動物の占有者等の責任)

     第七百十八条  動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。

     占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。

    【裁判・民事】従業員排除のための会社分割に加担した司法書士(複数)の共同不法行為責任を認めた裁判例(大阪高裁H27・12・11)

    大阪高裁平成27年12月11日判決(判例時報2300号)は、会社が団体交渉決裂後、当該労働組合の組合員(従業員)を会社から排除することを目的として行った会社分割とその後の事業閉鎖行為について、司法書士が会社分割等に専門的知識を有すること、会社と従業員との関係を認識していたこと、会社の真の目的を全く知らないまま関与したと考えることは不合理であること等から、会社側と司法書士の共謀を認定し、損害賠償を命じたものです(従業員1名あたり200万円前後の金額。上告・上告受理申立有)。

     

    違法行為への専門家関与の場合の法的責任や共謀の事実認定など実務上も参考になると思われます。