弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • カテゴリー: 民事
  • 【裁判・民事】マンション管理規約における管理組合費用等の未払者に対し、回収に係る弁護士費用全額負担させる旨の規約が有効とされ、実額請求を認めた裁判例(東京高裁H26・4・16)

    1審・東京地裁平成25年10月25日判決は、当該規定は必ずしも金額が明確ではないこと等から裁判所が認定する金額(通常は、実際の支出額より少ない額となります)としていましたが、東京高裁平成26年4月16日判決(判例時報2226号26頁)は、同規定は有効として、管理組合が実際に支出した金額の請求を認めたものです。

    マンション管理の実務において参考になる事案と思われます(なお、上告受理申立てがなされています)。

    【裁判・民事】高齢者の通所介護契約に基づく介護サービス中の送迎車両からの転倒事故につき、介護施設の安全配慮義務違反は否定されたが、速やかに医師の診察を受けさせる義務違反があるとされた裁判例(東京地裁H25・5・20)

    東京地裁平成25年5月20日判決は、高齢者が不意に動き出して車外に出ようとしたこと等から、施設側に係る行動の予見は困難として、施設側の安全配慮義務違反(転倒防止義務違反)は否定しましたが、施設側は事後は速やかに医師の診察等を受けさせるべきであったとして、この義務に違反したものとして損害賠償(慰謝料20万円)を認めました(確定)。

    高齢者等の介護契約をめぐるトラブルが多くなっているなか、施設側のとるべき対応等を示唆するものとして参考になると思われます。

    【裁判・民事】銀行の、預金名義人の代理人と称するものへの払い出しにつき本人意思確認に過失があるとして銀行に対する損害賠償を命じた裁判例(神戸地裁尼崎支部H26・5・21)

    本人の保佐人が提起した事案です。銀行は、代理人と称するものから、本人が脳梗塞のため字が書けないから病院にきてほしいと言われ、病院には言ったものの、医師等の面談・確認はおこなわず、代理人の面前で頷く本人の様子から、預金の殆どを代理人と称するものに払い出し・交付してしまった事案です。神戸地裁尼崎支判平成26年5月21日(金融・商事判例1446号44頁)は、医師等への確認を行っていないこと、預金の殆どであること、代理人と本人との間に血縁関係がないこと等から、銀行側の本人意思確認は不十分であるとして、不法行為上の義務違反を認めたものです(なお、控訴されています)。

    銀行の無権限者らへの払い出しは有効・免責とされがちですが(最高裁平成46年6月10日・民集25巻4号492頁等)、成年後見制度、本人確認の重要性等の制度・認識が広まっている現代においては、金融機関側の取るべき措置・対応(注意義務内容)も相当程度高度化すべきものと思われます。

    【裁判・民事】免責許可決定の効力が及ばない破産債権であるとして、破産債権者表に記載されていることを理由にする執行文付与は認められないとする最高裁判例(H26・4・24)

    破産債権者表(いわゆる債権者一覧表)に記載された債権は、破産手続終了後、確定判決と同様の効力が認められるという規定(破産法221条)を前提に、強制執行実施のために民事執行法33条1項の適用・準用により執行文付与を求められるかが問題となった事案につき、結論として、認められないとしたものです(最高裁平成26年4月24日判決・最高裁HP)。

    免責許可決定の意味・効果との関係では、穏当な結論と思われますが、その理論的根拠等、一度は確認・検討する意味もあろうかと思い、参考までにアップします。


    裁判所HP

    http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84146

    【裁判・民事】顧客が銀行の店舗出入口に敷かれていた足拭きマットがまくれ上がって転倒した事案につき、銀行の注意義務違反・賠償責任を認めた裁判例(東京高裁H26・3・13)

    原審の東京地裁平成25年9月24日は銀行の注意義務違反・賠償責任を認めませんでしたが、東京高裁平成26年3月13日判決(判例時報2225号70頁)は、銀行の安全確保義務違反を認めたものです(確定)。

    目撃証人がいない事案であったようですが、東京高裁は、本件床面の滑り抵抗係数の平均値が「東京都福祉まちづくり条例施設整備マニュアル」が定める安全基準(0.4以上)を下回る状況であったこと(平均0.38)なども指摘しており、事故立証などに参考になるものと思われます。

    【裁判・民事】ゴルフ場で、プレーヤーAの打球が他の組でのプレーヤーBの左目に当たり怪我した事故につき、Aのほか同伴していたキャディ及びゴルフ場運営会社の共同不法行為責任を認めた裁判例(岡山地裁H25・4・5)

    岡山地裁平成25年4月5日判決(判例時報2210号88頁)は、Aの責任ついて「時々三〇度程度シャンクすることがあることを認識していたのであるから、第二打の際三〇度程度でシャンクした場合にボールが飛ぶ範囲内に原告を含むプレーヤー等がいるかどうかを確認すべきところ、グリーン方向にまっすぐ飛ぶものと過信して、また、原告に他のプレーヤーのショット位置より前に出るというくせがないことから、原告は前方に進んでいないと思い込み、原告の動向や存在を確認することなく第二打を打ったこと及び第二打をシャンクさせたことに過失が認められる。」とし、キャディの責任について「(キャディは)、同伴プレーヤーは互いに他のプレーヤーがショットをする前にその前方に出てはならず、ショットするプレーヤーは、ショット前に打球が飛ぶ範囲内に同伴プレーヤー等がいる場合にはショットをしてはならないとされており、これに反する行動をプレーヤーが採ろうとする場合には同行するキャディとしてはこれを注意して阻止すべきところ、一三番ホールまでの原告とAの観察の結果、その程度の基本的なマナーやルールまで両名に注意する必要はないと過信して両名の十分な観察を怠り、その結果、必要な注意喚起を行わなかった過失があるといわざるを得ない。」とし、ゴルフ場運営会社はキャディの使用者として責任を負うものとし、他方、原告につき「同伴プレーヤーは互いに他のプレーヤーがショットをする前にその前方に出てはならないとされているところ、原告の第二打のボールがグリーンに乗ったかどうかの確認に気を取られ、被告乙山のボールが右三〇度前方に飛ぶことはないと過信し、Aの行動を確認しないまま不用意に前方に進んだことに過失が認められる。」とし、過失相殺を行った(控訴審で和解)。なお、原告は左目を失明されている。

     スポーツ事故の事例として参考になるものです。

    【裁判・民事】陸上自衛隊の対戦車ヘリコプター落着事故に係るエンジン製造業者の製造物責任法に基づく2億3400万円余(修理費・搭乗者治療費)を認めた裁判例(東京高裁H25・2・13)

    請求人は国、賠償義務者・製造者は川崎重工業株式会社です。

    自衛隊機が前進飛行を開始しようとした際に、突然、急激にエンジンが出力を失って落着し機体損傷・搭乗者2名が重症となる重大事故であり、国民・近隣住民との関係で国・自衛隊の責任・問題も問われる事案と思われますが、ここでは製造物責任の論点に絞ると、東京高裁平成25年2月13日判決(判例時報2208号46頁)が「『欠陥』の存在についての主張、立証は、本件エンジンを適正な使用方法で使用していたにもかかわらず、通常予想できない事故が発生したことの主張、利生で足り」るとして、それ以上エンジン内での欠陥部位や科学的機序の主張・立証は不要であると判示した点は、製造物責任法の趣旨から当然のことですが、他の被害事案における被害救済に役立つものと思われます。

    【裁判・民事】後見開始決定前であっても、未成年者又は成年被後見人に関する時効停止を認める民法158条1項の類推適用を認めた最高裁判例(H26・3・14)

    最高裁平成26年3月14日判決(判例時報2224号44頁)は、「時効の期間満了前6箇月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がない場合において、少なくとも、時効期間の満了前の申立てに基づき後見開始の審判がなされたときは、民法158条1項の類推適用により、法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、その者に対して、時効は、完成しないと解するのが相当である。」と判示しました。

     

    似た事案の最高裁の判断(平成10年6月12日・判例時報1644号42頁)の流れに沿うものですが、はじめての判断であること、時効期間経過前の審判申立てが必要とされていること、さらに、後見人に就職した場合の援用権行使期間など、実務上、留意すべきものと思われます。

    【裁判・民事】団地の自治会長による、住民への自治会加入強制・支払請求が不法行為にあたるとされた事例(福岡高裁H26・2・18)

    自治会長は、自治会に加入義務がなかったにも関わらず、当該住民へ繰り返し加入・支払いを求め、「あなたは本団地に居住する資格はありません」などと赤文字で記入された文書を交付すなどした事案であり、福岡高裁平成26年2月18日判決は、「執拗な行為」として不法行為の成立を認め金5万円の賠償を命じた一審判決を維持しました(判例時報2221号42頁。確定)。

    自治会・町内会のあり方は度々裁判となっており、参考事例としてアップします。

    【裁判・民事】いわゆる自転車便の運転車(請負人)が出勤途中に起こした交通事故について、自転車便業者(注文者)に使用者責任を認められた裁判例(東京地裁H25・8・6)

    自転車便の運転車が起こした交通事故について、自転車便業者(注文者)と自転車便運転車(請負人)との関係は労働関係ではなく請負関係であるから、自転車便運転車(請負人)に独立性があり、それゆえ自転車便業者(注文者)に使用者責任は認めらないのではないかと論点がありますが、本件では、法形式にとらわれることなく、実質的な指揮命令関係を把握し、自転車便業者(注文者)の使用者責任を認めたものです(判時2220号59頁)。

    実質面を把握し、被害者保護の趣旨からも妥当な判断であり、今後の同種事案・使用者責任事案にも参考なると思われます。