弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • カテゴリー: 民事
  • 【裁判・刑事詐欺等】被告人が自己が代表者である会社名義の口座から、同口座が詐欺等の犯罪行為に利用されていることを知りながら預金の払い戻しを受ける行為は、詐欺罪或いは窃盗罪を構成するとする裁判例(東京高裁H25・9・4)

    東京高裁平成25年9月4日判決(判例時報2218号134頁)は、「本件各銀行は、預金債権を有する口座名義人から、その預金債権の行使として自己名義の通帳やキャッシュカードを用いて預金の払戻し請求がされた場合、いかなるときでも直ちに支払に応じているわけではなく、それぞれその普通預金規定において、預金が法令や公序良俗に反する行為に利用され、又はそのおそれがあると認められる場合には、銀行側において、その預金取引を停止し、又はその預金口座を解約することができるものと定めて」いることなどから、犯罪行為者(及びその関与者)の行員を相手とする払い戻しにつき詐欺罪、現金自動預払機からの払い出しにつき窃盗罪が成立するとしました(確定)。

    刑事事件における判断ですが、民事上、被害者が銀行等から返還を受ける方向を確保・拡大する方向にあるものと理解され、投資詐欺等の被害救済の参考にアップしました。

    【裁判・民事】自治会住民間による「共同絶交」が人格権を違法に侵害するものとして共同不法行為の成立が認められた裁判例(大阪高裁H25・8・29)

    大阪高裁平成25年8月29日(判時2220号43頁)は、大都市部と異なる地域性もふまえ、集団で、特定の者との付き合いをなくしたり、無視したりする行為につき、「いわゆる村八分ないし共同絶交を宣言したもので、これらの一連の行為は、社会通念上許される範囲を超えた人格権を侵害する違法行為」と述べ、加害者側に金44万円の支払いを命じた一審判決(神戸地裁杜支部平成25年3月26日)を維持しました。

     案としてもめずらしいものであり、地域社会・コミュニティを考える上で参考になると思われます。

    【裁判・民事】航空機の降下飛行した際の過剰な操縦操作により小腸破裂等の被害を被った事案につき、モントリオール条約35条(訴え提起期間)を適用せず、乗客の航空会社に対する損害賠償請求を認めた裁判例(大阪地裁平成24年12月12日)

    国際航空に関しては、大量輸送等の観点から、顧客の被害額・救済方法を制限する規定(条約)がありますが、大阪地裁平成24年12月12日は、航空会社の不誠実な対応も指摘し、「本件条項の2年の期間制限をいかなる場合にも形式的に適用しなければならないことまで本件条項が規定しているものとは解されない。本件条約が、国際航空運送における消費者の利益の保護を確保することの重要性及び喪失利益の回復の原則に基づく衡平な賠償の必要性と、国際航空運送事業の整然とした発展並びに旅客等の円滑な移動等との、均衡を図ることを趣旨としたことからすれば、国際航空運送における消費者の利益の保護と国際航空運送事業の発展との間の均衡を著しく失し、不合理な結論をもたらす特段の事情がある場合には、本件条項は適用されないと解すべきである。」と判示し、モントリオール条約(国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約)35条提訴期間制限規定の適用を排除し、航空会社に金1235万円超の賠償を命じたものです(判例時報2203号92頁)。

     

    条約そのものの当否はおくとしても、個別具体的な被害救済を図る適切な判示と思われます。

     

    なお、手荷物遅配によって海外視察をTシャツ・短パンで行うことを余儀なくされた被害事案について、航空会社の賠償責任を認めたものとして、仙台地判平成15年2月25日(判例タイムズ判決1157号157頁。最高裁で確定)があります。当時、大きく取り上げられ、同種事案も多数報告されています。

     

    支援のホームページ(判決文などあり)

    http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/old/klm-top.htm

    【裁判・民事】75歳の女性客がショッピングセンターのアイスクリーム売場前で足を滑らせて転倒した事故につき、ショッピングセンター運営会社の不法行為責任が認められた事案(岡山地裁H25・3・14)

    岡山地裁は、ショッピングセンターの義務内容につき、「本件店舗のようなショッピングセンターは、年齢、性別等が異なる不特定多数の顧客に店側の用意した場所を提供し、その場所で顧客に商品を選択、購入させて利益を上げることを目的としているのであるから、不特定多数の者を呼び寄せて社会的接触に入った当事者間の信義則上の義務として、不特定多数の者の日常あり得べき履物、行動等、例えば、買い物袋を載せたショッピングカートを押しながら歩行するなどは当然の前提として、その安全を図る義務があるというべきである。」として、本件においては、「これを本件についてみるに、前記認定事実によれば、本件事故当日は、本件売場において、「○○の日」として一部のアイスクリームが値引きされて販売されており、また、同日はハロウィンでもあったことから、多数の客が集まり、本件事故当時も、約20名の客が行列をつくっていたこと、本件売場の飲食スペースは、机が数個、椅子が数脚存在するだけであったことが認められ、これらの事情に本件売場で取り扱うアイスクリームという商品の特性をも併せ考慮すると、本件売場でアイスクリームを購入した顧客が本件売場付近の通路上でこれを食べ歩くなどし、その際に床面にアイスクリームの一部を落とし、これにより上記通路の床面が滑りやすくなることがあることは容易に予想されるところである。そうすると、本件店舗を運営する被告としては、顧客に対する信義則に基づく安全管理上の義務として、少なくとも多数の顧客が本件売場を訪れることが予想される「○○の日」については、本件売場付近に十分な飲食スペースを設けた上で顧客に対しそこで飲食をするよう誘導したり、外部の清掃業者に対する清掃の委託を閉店時間まで延長したり被告の従業員による本件売場周辺の巡回を強化したりするなどして、本件売場付近の通路の床面にアイスクリームが落下した状況が生じないようにすべき義務を負っていたというべきである。しかるに、被告が、これらの義務を尽くしていないことは明らかであり、これにより、本件売場付近の通路の床面にアイスクリームが落下した状況を生じさせ、本件事故が発生したのであるから、被告は、不法行為に基づき本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。」と判示し、金862万円余の賠償を命じました(賠償額過失相殺2割。確定しています)(判例時報2196号99頁)。

    ショッピングセンターの増加に伴い事故も増加しており、実務上、参考となる事例と思われます。

    【裁判・執行】競売対象不動産につき、買受人が暴力団関係者と折衝する蓋然性が高い場合に、不動産の価値的な損傷があるとして、売却許可決定が取り消された事案(東京高決H25・7・12)

    本事案は、担保不動産競売事件において、土地の売却許可決定を受けて買受人となったAが、本件土地隣接地に暴力団幹部が居住していること、土地の利用形態等から暴力団幹部との折衝が必要とされること等から、民事執行法75条1項に基づき、売却許可決定の取消しを求めた事案です。同条項は、後記のとおりです。原審(東京地決H25・4・30)と判断が分かれてることや75条の解釈・適用場面を示すものとして参考になると思われます(金融商事判例№1426・34頁)。
     
    第七十五条  最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
    2  前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
    3  前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

    【裁判・民事】美容目的の脂肪溶解剤注射(メソセラピー)につき、損害賠償を命じた裁判例(東京地裁H24・10・31)

    診療所において、美容目的で脂肪溶解剤を皮膚・皮下脂肪層に注射する治療(メソセラピー)を受けた者らが、施術後に非結核性抗酸菌感染症を発症・後遺障害が残った事案につき、東京地裁は、その感染症・後遺症は、診療所側は、十分な滅菌処置をしなかったこと等によるとして、診療所側に、診療契約上の債務不履行責任等に基き、治療費、休業損害、慰謝料などの賠償を命じました(判例時報2173号45頁)。

    美容目的のこうした施術はトラブルも多く、被害救済の参考例としてアップします。

    美容・医療サービスのトラブルにつき、国民生活センターHPにも情報がまとめられています↓。

    http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html

    【裁判・民事】登記なくして通行地役権が対抗できる場合と、その判断基準時についての最高裁判例(H25・2・26)

    不動産に関する権利は登記しなければ他のものに権利主張できないのが原則ですが(民法177条)、通行地役権は、「継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったとき」は登記なくても権利主張できるとされてきました(最高裁H10・2・13 判例時報1633号74頁、判例タイムス969号119頁)。最高裁H25・2・26は、H10判決を前提に、不動産担保競売の場合の「認識」の判断基準時は、抵当権実行時(競売時など)ではなく、最優先の抵当権設定時であると判示しました。

    通行地役権は現実にも問題となることも多く、留意が必要と思われます。

    最高裁HP↓ 

    http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83014&hanreiKbn=02

     

    【民事・手続】簡易裁判所における訴訟で、証人尋問が記録化(証拠化)されないこと等の問題点に関する判例(東京高裁H24・7・25 特別上告審)

    簡易裁判所では、事件処理の簡略化・迅速性等の観点から、証人尋問が実施されても、事実上録音されるものの、記録化(証拠化)されない取り扱いとされることがあります(民事訴訟法規則170条1項)。

    その結果、当事者のいずれかが判決に不服で、控訴となった場合に、控訴審(地方裁判所)で、簡裁段階の証人尋問(結果)の取り扱いが問題となります。

    結論としては、

    ・ 簡裁段階での証人尋問は何ら訴訟上の証拠・記録にはなっていない

    ・ それゆえ、簡易裁判所は、証人尋問調書・結果を判決の基礎にはできない

    ・ 控訴審裁判所(地方裁判所)も、訴訟上の正式記録ではなく事実上録音されたに過ぎない証 人尋問についての録音テープを聞いてはならない

    等となります。

    実務では当事者のいずれかは録音反訳書面を証拠として提出することも多いですが、証人尋問を実施しておきながら、果たしてそうした負担を当事者におわせていいのか、上記結論の妥当性など検討されるべき課題も多いように感じます。

    ご紹介の判例(判例時報2165号84頁)は控訴審(地方裁判所)が上記結論・法令に違反した誤りを指摘するもので、いわゆる簡裁事件につき、実務上は留意が必要かと思われ、ご参考までにアップしました。

     

    【民事・消費者】電気通信事業者(携帯電話会社)の、消費者に対するインターネット通信サービス利用料金の支払料金拡大防止義務違反(債務不履行による損害賠償義務)を認めた裁判例(京都地裁H24・1・12)

    消費者が、パソコンでインターネット通信サービスを利用した結果、通信料として金20万5671円という予想外の高額請求を受けた事案につき、インターネットに係る事業者側・消費者側の特性等を詳細に指摘したうえ、「以上に掲げた諸事情を考慮すれば、本件通信時において、原告のアクセスインターネットの利用により高額なパケット通信料金が発生しており、それが原告の誤解や、不注意に基づくものであることが被告においても容易に認識し得る場合においては、被告は、本件契約上の付随義務として、原告の予測外の通信料金の発生拡大を防止するため、上記パケット通信料金が発生した事実をメールその他の手段により原告に告知して注意喚起をする義務を負うと解するのが相当である。」として、電気通信事業者に対し、金10万7138円の損害賠償を命じました(判例時報2165号106頁)。

    電気通信事業者の通信サービスシステム等に対する専門・独占的立場を前提に、消費者側との格差・不均衡を救済する考え方として、実務上も大いに参考になると思われます。

     

    【民事・裁判】代表者1名の口座に積み立てた、友人4名の海外旅行等積立資金につき、信託財産として友人3名分に対する強制執行を否定した裁判例(東京地裁H24・6・15)

    Aを含む友人4名で、海外旅行等のための積立てとして、A名義の口座に約240万円の積み立てがなされていたところ、Aの債権者がその口座の全額につき強制執行を実行した事案につき、同口座の積立金は信託財産であるとして、A以外の3名分(約180万円)に対する強制執行は認められないとした事案です(判例時報2166号73頁)。

    信託財産とされればAの財産からの独立性が認められるものです。

    相外旅行目的に限らず、知人間のこのような積立ては日常的に行われているものと思われ、裁判例はこうした日常生活の実態・銀行口座利用の有用性を保護したものと思われ、また、今後の積立ての方法等のあり方の参考になると思われます。